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LEDヘッドライトをルーメンだけで選んでいいのか!?

LEDヘッドライトバルブを選ぶときに、なにを基準にするか。パッケージ(箱)だけを見ると、最近はルーメン表記が目立つ。 「何千ルーメン」という数値だ。「このルーメン値が高いバルブほど明るい」と普通の人は考えるはず。

ルーメン値が高いほど光源が明るいのは事実だが、ルーメン値だけでバルブの明るさを語るのは、実質的には「?」である。

ルーメン=路面の明るさではない!

ルーメンは全方向の光の合計みたいなもの

ルーメンという言葉が意味するのは、カンタンに言うと「バルブが全方向に出している光の総量」である。 (難しい言い方だと、全光束と言う)。

この「全方向」というのがポイント。

しかし実際に車のヘッドライトに付けたときには、バルブから出た光が全て地面に届くわけではない。 例えばリフレクターで反射させたり、あるいはプロジェクターで集光させたりして、路面の配光を整えていく。

つまり純正のバルブは純正のヘッドライトとバランスが取れている状態だが、社外品のバルブに交換するということは……、
「配光がしっかり出ていないと、けっきょく路面に届く光は少なくなり、暗い! ということになってしまいます」 (IPF・市川研究員)

「ルーメンが高い割には、付けたときに暗く感じる」 というのは実際によくある話のようだ。
「何千ルーメンってホントかよ!!」 と怒る人もいそうだが、 ルーメンはそもそも「路面の明るさ」を示す数値ではない。

ルーメン値が高いLEDに交換する=明るくなる、とは言えないのです

イルミ

車検で測定されるのはカンデラ

車検は実際の路面の明るさを見ている

車検場で使われるのと同じテスターの画面。

車検では、
「実際にしっかりした明るさで路面を照らせているか」
を調べる。ヘッドライトとテスターの位置関係なども決まりがあるし、測定されるポイントも決まっている。

LEDヘッドライトの製品のスペックは「あくまでもバルブが発する光の量」なので、当然だが、路面の明るさは分からない。
「LEDヘッドライトバルブのルーメンが大きくても、車検測定部分の明るさでは純正を下回るということもあり得ます」。(IPF・市川研究員)

そして車検は測光ポイントに実際に届いている明るさを測る。これはカンデラ(※ルクスをベースに算出される)で示されるものであって、ルーメンではない

ただし、
「それならLEDヘッドライトバルブのパッケージには、カンデラ表記してくれればいいのに!」というのは難しい話だ。

カンデラ算出の元になるルクスは、測定距離などによっても数値が変わってしまうので、メーカーが自主的に表記したものでは比較検討の役には立ちにくい。
(車検では「測定距離」も「測定位置」も明確に定めてあるので問題ない)

理由はもうひとつある。
バルブメーカーは、バルブ単体を作っているのであって、「ヘッドライトに収めた状態の性能」を明確にするのは不可能。車種・灯具の違いによってもカンデラは変化するので、「このバルブを付けたヘッドライトの明るさ」は言うことができないのだ。 だからメーカーはバルブ自体の明るさを示すルーメン表記をするしかない。

ルーメン表記自体は「悪」ではない。 たとえば「同等レベルの配光性能を持つバルブ同士の比較」というのであれば、ルーメンによる比較も有効と言える。

ただ今回〈問題提起〉したいのは、
ヘッドライトはルーメンだけでは選べない、ということだ。

箱のルーメン値を見るときの注意点

ルーメンはこんな風に箱に書いてある

ルーメン表記にもうひとつ、重大な注意点がある。それはルーメン表記の方法に統一性がないこと。

一部の老舗メーカーなどは「バルブの片側の明るさ」を表記しているケースがある。しかし、LEDヘッドライトバルブは「両側を合計したルーメン値」をうたうメーカーがほとんどなので、「片側表記」は明らかに損をしているようにしか見えない。

(片側のみで)1500ルーメン!
(両側合計で)3000ルーメン!


言ってることは同じだが、もしカッコ内の文字が小さく目立たない表記だとしたらどうだろう…? 一見、後者のほうが明るいと勘違いする人が多そうだ。

とりあえず今後は、そのルーメン値が、両側なのか片側なのかだけでも気にしてほしい。

上の写真はIPFのLEDヘッドライトだが、「ロービーム時のルーメン、ハイビーム時のルーメン、1台分の合計値」としっかり書いてある。 ここまで見ないと、単純に「何千ルーメン」だけ見てもまったく意味がない。店頭で買うにしろネットで買うにしろ、ルーメンを見るときはいろいろと注意するポイントがあるのだ。

そもそも「ルーメン表記だけでLEDヘッドライトバルブを選ぶ」のは、やめておいたほうがよい。 ルーメンも指標のひとつではあるが、「ルーメン=運転者が感じる路面の明るさ」ではない。

体感できる明るさを求めるなら、ルーメンだけでなく配光性能を気にしたほうがよい。 付けたときに明るく感じるのは、むしろ配光のしっかり取れたバルブだ。 技術のあるメーカーは、ルーメンとバランスを取りながら、配光性能をとことん作り込んでくる。そこは非常に肝心だが、数値では伝わってこないところでもあるのである。

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