ノイズ対策
ポップノイズ(ボツ音)の原因と対策。除去はできるのか?
ポップノイズが何だかわからなくても、オーディオの電源をオンオフした時に出る「ボツ」音を聞いたことがある人は多いはず。あれこそが「ポップノイズ」。その原因と、除去のための対策を解説する。
オーディオ電源オンオフのタイミングで出る「ボツ」音
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前回はオルタネーターノイズ(※)についてお話しましたが、今日はポップノイズの解説です。
※「オルタネーターノイズフィルターは効くの? 効かないの?」参照。
●アドバイザー:ビートソニック ワタナベ研究員
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連続ですね。ノイズの話……(本当は)好きですよね!? ワタナベ研究員。
●レポーター:イルミちゃん
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いいえ。私もひとりのオーディオ好きとして、ノイズは大キライです。
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ポップノイズってなんですか?
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オーディオの電源を入り切りするタイミング……、つまりカーオーディオでいうと、車のキーをオンオフしたときに出やすい「ボツ」という音です。
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「ボツッ」っていう音は、オーディオだとよくありますね!
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それがポップノイズです。
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オーディオっていうのは、そんなもんだと思っていましたが……。アレもノイズだったのか。
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しかし、気分的にはあまりイイモノではありませんよね。スピーカーにも良くなさそうだし、何の音もなく「スッ」と消えるほうが、気持ちがいいですよね。
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消せるなら消したい!
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ビートソニックにも、「ポップノイズを除去する方法は、ないですか」という問い合わせはけっこう多いのです。
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気にしてる人が多いんですね〜。
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まずは、ポップノイズがなぜ起こるのか、その原因から解説していきましょう。
電源オンオフのタイミング
ポップノイズ「ボツ」音が出る原因は?
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ポップノイズの原因はひとつではありませんが、カーオーディオの場合に多い事例を挙げます。
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フムフム。
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"ボツッ"という音は、アンプの電源が入っていて、まだ駆動している間に、デッキ(ヘッドユニット)側の電源が先に落ちることで発生します。
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ほほう。
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ヘッドユニットの電源が落ちるタイミングで出す「ポッ」という音が、アンプで増幅されて「ボツッ」っと大きな音になるんです。
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ノイズの音を、わざわざアンプが増幅しているのか。
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そうなんです。
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でも、そもそもの原因はデッキが出している音ってこと?
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そうなりますね。電源を入れるタイミングだと「突入電流」、切るタイミングでは「回路からの放電」によって、小さなノイズが発生するんです。
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発生時は、ひかえめに「ポツ」。
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デッキの段階では、ほぼ気にならないレベルのノイズ。でもまだアンプの電源が落ちていないとアンプで増幅され、スピーカーから再生されてしまうと……
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「ボツッ!!」と、おおげさな音になるわけですね〜。
✔ アンプの役割はデッキの信号を増幅してスピーカーを鳴らすことだが、ここではそれが裏目に出る。
ポップノイズ対策されたアンプなら出にくくなるが、ゼロは難しい
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原因は分かりましたが……そうなると、悪いのはデッキ(ヘッドユニット)なのでしょうか?
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いや、デッキ側でもある程度の対策は取れるものの、限界があるようです。
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じゃあ、アンプが悪いってこと?
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う〜ん。
そこは組み合わせにもよります。 -
例えば?
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始動時で考えると、アンプ側の仕様として音声を受けられる状態になるのが早めで、いっぽうデッキ側がノイズを出すタイミングが遅めだとすると、アンプはすでに立ち上がっているので「ボツッ」と鳴ったりする。
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相性が悪い……みたいな?
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そういう面はあるにはあります。
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……なんか、相性問題だからどっちも悪くないっていう、メーカーの逃げ口上にも聞こえますが?
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いや、ビートソニックでもPA2というアンプを出していますが、これに関しては相当にポップノイズ対策を打ってありますよ。
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ほほう。最近話題のPA2ですね。ポップノイズとも戦っていたのか。
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PA2は、アンプ機能を作動させるタイミングをうまくチューニングすることで、どのデッキと組み合わせてもオンオフ時のポップノイズは発生しにくい様に設計されているのです。
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へぇー!
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ポップノイズは、いかなる状況でも完全になくすのは難しいのですが、回路の試行錯誤で、ゼロに近づけています。結果的にPA2アンプなら、だいたいのケースで出ません。
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こういうアンプなら、防げる可能性が高いのかぁ。
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ポップノイズは、アンプを設計する上で、気を遣う部分であることは確かです。
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フムフム。
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スピーカーは、大きな電流が流れないと〈音〉にはなりません。しかしアンプのほうでノイズを受けると、少しの電気の量でも反応するため、増幅されてしまう。それでけっこうハッキリ、ボツっという音になってしまう。
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ウ〜ム。そういうことならアンプ側でなんとかしてよ、という気もしますね。
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ええ。
PA2の開発者も、かなり試行錯誤しています。 -
……しかし、もうすでにデッキもアンプも揃えてしまっている人が、「ボツッ」で悩んでいるとすると……
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……そこですね。
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アンプを買い直すお金がない人は、どうすればいいのか?
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では次に、現状の相性問題を解消する方法を考えてみましょう。
ビートソニックの マイクロパワーアンプPA2
✔ ポップノイズをはじめ、RCAラインから伝わってくるノイズ対策回路も万全に練られたPA2。
✔ しかし、そういう設計思想は、アンプによる話。ノイズがのりやすいアンプ、のりにくいアンプの差は出てきて当然なのだ。
デッキより先にアンプの電源が落ちれば、ポップノイズは聞こえなくなる
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最初の話に戻りますが、基本的には、アンプがまだ生きている状態のときに、先にデッキ側の電源がオンオフされることによって「ボツ」っとなる。
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はい。
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ということは、対策として、先にアンプの電源を切ればいいのです。
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ほお!?
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デッキが「ポツ」っと言ったときにアンプがもう寝ていれば、音は増幅されない。その状態では、ポップノイズも聞こえないのです。
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なるほど!
で、アンプの電源を先に切る方法は? -
アンプの電源を先に切ることはできませんが、デッキの電源が落ちるタイミングを遅らせることならできる。
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同じことですね!
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車のキーオフ時に電源遮断を遅らせるために、ディレイタイマーというアイテムを使えば、それが可能です。
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これはポップノイズだけでなく、例えば車から降りたあともしばらく消臭機を作動させたり、といったこともできるタイマーなんですが……
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電源が遮断されたあとも、電気が供給される。
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アンプの電源が落ちてから、デッキが落ちるようにタイマーセットするんだ。
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タイマーの時間設定は、0.5〜6秒(12段階)と、5〜60分(12段階)の2種類から選べます。
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ポップノイズ対策として使うなら、60分もいりませんね。
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そうですね。ほんの3秒でもいいので、デッキの電源が落ちるタイミングを遅らせてあれば、鳴らなくなります。
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なるほどォ。
これは賢い! -
ただし、この対策で消せるのはオフ時のポップノイズだけですけどね。オンの時に聞こえるものは消せません。
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そういうことになるのか。でもオフ時の「ボツッ」が気になっている人には有効ですね!
ビートソニックの ディレイタイマーDT1
これをデッキに使うと、デッキの電源が落ちるタイミングを遅らせることができます
DIY Laboアドバイザー:渡邊悠二
カーエレクトロニクスの雄、ビートソニックにおける技術部のホープであると同時に、同社の「顔」としての活躍も期待される人物。プログラマー出身で、ITにも車にも強いが、いちばん得意なのは料理という説も。●ビートソニック TEL 0561-73-9000
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