キックパネルの外し方と、戻す時の注意点(モデル:新型80ハリアー)
内張りの外し方をゼロからおさらい。モデル車は新型80ハリアーだが、トヨタ車の内張りを外す方法はどれもだいたい同じなので、他車種の場合でも参考になる。なおキックパネル外しは難しくはないが、外し慣れていてもうっかりしがちな注意点がある。
キックパネルの外し方なんて、何を今さら……?
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内張りの外し方を基礎から勉強するシリーズ。講師はデンクル・岡本研究員です。
●レポーター:イルミちゃん
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モデル車は新型80ハリアーですが、トヨタ車の内張りの外し方は車種が変わってもだいたい同じですので、他車種の人も参考にしてもらえたら、と思います。
●アドバイザー:デンクル 岡本研究員
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最初はどのあたりから外しましょう?
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まずは、キックパネルの外し方からおさらいします。
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……え?
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何か?
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いくらなんでも、キックパネルは簡単過ぎてネタにならないのでは???
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確かに外すのは簡単で、誰でもできると思いますが、意外と「あるある」な注意点があります。それを説明するのに都合がいいのです。
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……ほう。
いったい、どのような話でしょうか?
キックパネルを外した直後の注意点…!
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今回は新型ハリアーの助手席側を例に説明します。
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なぜ助手席側?
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助手席側にはヒューズボックスがあります。
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フムフム。
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例えば電装品を取り付けるとき、助手席側のヒューズから電源を取るのは定番だと思いますが……
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確かに。
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そのとき「セットでアースも取りたい」となったら、助手席側キックパネル裏は狙い目ですので。
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そっか。アースポイント目当てでキックパネルを外すのは、よくある話ですね。
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キックパネルを外すときは、まず助手席側ステップ(スカッフプレート)を先に外します。
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ステップのほうが上側に重なっているからですね。
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そうですね。ステップは手で引っ張るだけで外すことができますが……
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スカッフプレートのイルミネーションが付いている車は、その配線がつながっていますから、カプラーを抜きます。
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これでキックパネルを外す準備ができました。
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キックパネルは、側面に樹脂ネジがひとつ使われているので、まずはそれを手で外します。
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工具を使う必要すらありませんね。
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そうですね。
ここまでは。 -
キックパネルだって、引っ張って外すだけでしょ?
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ホラ!
もう取れたし。 -
ここで、まだ内張りを外したことがないような新車だと「あるある」な現象が起こります。
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え?
先生、もう取れてますけど? -
キックパネルは引っ張れば外れますが、固定に使われているピンが車体側に残ることがある。こんなふうに(↓)
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あれ?
このピンは本当は外れないといけなかったやつ??? -
そうなんですよ。外したキックパネル裏の、この部分に付いていたピンです。
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新車だからピンが固くハマっていて、抜けなかったんだ。
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ですね。引っ張ったときの力で、先に内張りからピンが外れてしまったわけです。
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でも、まあ、キックパネルは取れたんだから、いいんじゃないの?
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しかし、このピンが抜けていることに気づかないまま内張りを戻す人もいると思うんですよ。
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その段階で、付かなくて、気づくのでは?
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いや。1本くらいピンが外れていても、樹脂ネジでも留めるし、ステップもかぶさってくるし、なんとなくは付いてしまいます。だから注意なのです。
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あー。ちゃんとはハマっていない、というやつか。
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ハイ。本当は3箇所で留まっているものが、2箇所でしか留まっていないような状態になっている。
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取れてしまう感じではなさそうですが……
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しかし、一箇所だけピンがしっかり内張り側にハマっていないせいで、そこが浮いたような状態になってしまう。数ミリですけど。
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なんかピタっと付かない、気持ち悪い状態になるんだ。
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ですから内張りを外した段階で、全てのピンが内張り側に付いていることを確認しておくのがポイントですね。
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なるほどー。
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車体側に残ってしまったピンは外して、内張り側に付け直しておきましょう。
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……あれ!?
先生、固くてピンが抜けませんが。 -
車体側に残ったピンは、固いからそうなったわけで、手で引っ張ったって取れません。
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ムムム。
けっきょく工具がいるのか。 -
そうですね。このピンは、内張りはがし等を使って外しましょう。
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そして、ピンを内張りのしかるべき位置に付け直しておくんですね。
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ピンを内張り側に戻してから、内張りを取り付けるようにします。
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今回はキックパネルの例で説明しましたが、バックドアなどの大きな内張りになるとピンの数も多くて、高い確率で、数本のピンは車体側に残ります。
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どの内張りを外すにしても、今回の話は関わってくるんですね。覚えておきましょう~。
バコ!
DIY Laboアドバイザー:岡本 亮
「カプラーオンで簡単に取り付けできる」をテーマにした電装品を開発するDENKUL(デンクル)代表。車の電装、プログラミングの双方に長けている。工具大好き。●DENKUL(デンクル) http://denkul.jp/