東京オートサロン2019ルポ
旧車が高騰する中、一石を投じたL28エンジン載せ替えの一台。しかも堂々の公認車
旧車価格が高騰中。一千万円オーバーもザラである。今や旧車好きの一般ユーザーには手の届かない存在だが、この現状に一石を投じた一台が、東京オートサロン2019の出展車として登場。しかも単なるショーモデルではなく、堂々と公道を走れる公認車だ。
東京オートサロン2019、今日は公認車検専門店・TICからのレポートです
DIYラボ レポーター:イルミちゃん
公認車検専門店のブースは、相変わらず大盛況
-
TICにはDIYラボの車検担当アドバイザー・コッシーこと越川研究員がいます。
●DIYラボ別館 ユキマちゃん
-
どうも、TICの越川です。
今年もよろしくお願いします。●アドバイザー:TIC 越川研究員
-
公認車検専門店が東京オートサロンに出展するというのは、相変わらず異色の存在だけど……
-
しかし、公認車検の相談などでブースに来てくれるお客さんは年々増えています。
-
オートサロンでは、しゃべりっぱなしの越川研究員。
-
ある意味、コッシー本人(↓)がブースの見どころよね。
-
いったいどういう人が、TICブースに相談に来るんですか?
-
それはもういろいろですよ。走り屋系のチューニングカー・カスタムカー・VIPセダンの人も、公認取得の件で相談に来られます。
-
最近はドレスアップ&カスタムの世界でも、意識の高いユーザーが増えていますからね。
-
あとは、輸入した車の登録の件で相談に来る人もいるし。
-
皆さんも、公認取得に関することならTICに相談してみましょう。
✔ TICのメイン業務は、全国各地のプロショップから依頼される改造車両の公認取得だが、ユーザーが直接相談を持ち込むことも可能だ。 詳しくはTICの公式サイトから。
S14シルビア後期に、L28エンジンを載せ替えた出展車
-
ところで、TICブースの見どころは、越川研究員だけではありません。
-
今年は、谷島自動車さんと共同でS14シルビア後期を出展しています。
-
……といってももちろん、普通のS14なわけがなく……
-
S14シルビアにはSR20という四気筒のエンジンが載っていますが、それを降ろして、別のエンジンに載せ替えました。
-
エンジン載せ替えか~。
-
ここでRB26を載せるとか、そういうのは定番だと思うんですけど……
-
定番とは違う?
-
この車は、まさかのL型を載せているんです。
-
L型エンジンというと……
-
旧車で大人気の、L28フルチューン・キャブレター仕様のエンジンですね。
-
旧車のエンジンに載せ替えだ。なんかマニアックで渋くて楽しそう。
-
そうです。旧車の味を、ちょっと新しめのボディで再現する、というテーマですね。
-
ホホウ。
-
なんでまた、そんな手間のかかることを?
-
例えば、ハコスカとかZは日本の名車には間違いないんだけど、実際にそれらの車を買おうと思ったら、今や1千万円とかそういう値段がザラなわけですよ。
-
旧車って、今の車にはないスタイリングがカッコいいですけど……ものすごい高騰ぶりですね。
-
いくら昔の車に乗るのが楽しい、といっても、じゃあ若者が買えますか?……っていったら絶対無理ですよね。
-
そりゃそうだ。
-
いまや、海外の投機マネーも入り込んでいるっていうし……
-
そうそう。日本車なのに、日本人が買えない存在になりつつあります。
-
ウーム。
人気ありすぎも困ったもんね。 -
でも、旧車は無理でも、旧車のエンジンや部品は手に入りますから。
-
それでスワップってわけか~。
-
ベース車としては、ちょっと新しめのしっかりしたボディを選ぶのがポイント。
-
ボディまでレストアしなくて済むから?
-
そうですね。コスト面の話もあるし、走りの面ではボディがしっかりしているのは重要なんです。実際に載せ替えてみたら、サーキットを走っても安心感がある。
-
ナルホド。
-
エンジンは昭和だけどボディが平成っていうのは、やってみるとこれがまた……最高のフィーリングなんですよ。
-
新しい遊び方の提案ですね、まさに。
-
サーキットで楽しいのはいいんだけど……公道を走れるように、できるのかな?
-
まさにその部分を担当したのが、TICです。
名機・L28
L28改3.1リッター仕様。
✔ エンジン載せ替え等、メインの車両製作は、旧車のプロフェッショナルである「谷島自動車」が手がけている。公認取得や触媒関係などが、公認車検専門店であるTICの仕事。
旧車のエンジン載せ替えで公認を取得するときの問題点
-
L28エンジンを移植しても、公認取得はできるんだ。
-
できますが、通常のエンジンスワップとは違ってちょっと難しいところはあります。
-
と言いますと?
-
昔のL型エンジンの車は、いわゆる10モードと呼ばれる古い基準の排ガス規制(昭和48年~)しか、クリアしていないんですよ。
-
あー。
古い世代のエンジンだからか。 -
しかし、より新しい世代の車に載せるためには、その世代に合わせた排ガス規制をクリアしないといけない。
-
そっか。
あくまでも、ベース車はシルビアだから…… -
シルビア世代の基準を、クリアしないといけない。
-
そういうことです。10モードより後に出来た、10・15モード排ガス規制の基準をクリアしないと、この年式の車には載せられないんですよ。
-
……作ったはいいけど、本当に公認取得できるのかしら? 今回のはショーモデルでしょう?
-
もう取ってありますから、心配はいりません。このまま公道を走れます。
-
さすがTIC。
-
ハードルが高くはなるけど、公認取得は可能です。
-
気になる費用は、いかほどか?
-
旧車のフィーリングが好きな人には、新しい車の楽しみ方としてアリかも知れません。
✔ 程度の良いNAグレードのQ'sを探し、L28のノーマルエンジンを移植、公認取得費用まで含めたとして、車両込みの総額は300万円程度が目安だという。
✔ ターボグレードのK'sは高騰しているので、NAのAT車をベースにしているのもポイント。