リレーアタックを防ぐ
ビートソニックのリレーアタック防止装置「シャットアウト」の秘密
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ビートソニックの「シャットアウト」は、文字どおりリレーアタックを仕掛けてくる窃盗団を100%シャットアウトする。そこまで言い切れる「シャットアウト」の仕組みはどうなっているのか。開発に携わったワタナベ研究員に取材した。
リレーアタックを100%防止する「シャットアウト」
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「ビートソニックが、画期的なリレーアタック防止装置の開発に成功…!」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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まだ未発表で、ビートソニック公式サイトにも情報をアップしていないのですが、この場で私の口から先行公開させて頂きます。
●アドバイザー:ビートソニック ワタナベ研究員
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今日は、開発に深く関与しているワタナベ研究員に、こっそり本体を持ってきて頂きました。
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これがウワサの「シャットアウト」か~。見たところ、ただの箱ですが……。
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ただの箱ではありません。このユニットをとあるカプラーに割り込ませることで、リレーアタックが100%防止できるようになるのです。
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100%って言い切っていいのでしょうか? 99%ぐらいにしておいたほうが……
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いいえ。「シャットアウト」の仕組み上、リレーアタックに関しては100%防止できるのです。
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しかし、その仕組みがどういうモノなのか説明してもらわないことには……ねぇ。
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では、ビートソニックの「シャットアウト」が何をしているのかを、分かりやすくご説明いたします。
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純正リモコンで操作できてしまう秘密についても、聞かないとね。
ビートソニックのリレーアタックガード・シャットアウト
スマートエントリーを無効化すればリレーアタックは防げるが…
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リレーアタックについてのおさらいも兼ねて説明します。リレーアタックとは、スマートエントリーを狙った車両盗難の手口です。
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スマートキーの電波が盗まれてしまう。
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そうです。電波を盗んで、あたかも「スマートキーを持っている車の所有者」になりすます。そうなったら、タッチセンサーでロックも解除されてしまうし……
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そのままスタートボタンでエンジン始動もできてしまいます。
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スマートキーを、持ってることになってるから。
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物理的に純正リモコンキーを持っているわけではありませんが、そもそもリモコンを出さなくてもいいのがスマートエントリーシステムだから、そこを突かれている。
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物理的なカギだったら、空中で泥棒なんてされないのになァ。昔の車に戻ればいいのか?
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まあ、そうですね。でも「昔の車に戻したい」ということであれば、スマートエントリーの無効化は可能ですが。
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スマートエントリーの無効化?
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そうです。これはビートソニックは関係なくて、純正で備わっている機能設定の話としてです。
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へー。
そうなんだ。 -
スマートエントリーに限らず、純正のいろいろな機能に「有効・無効」の設定があります。スマートエントリーの場合、デフォルトで「有効」になっていますが。
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それ、どうやって切り替えるの?
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自分ではできませんが、設定を書き換えることで無効化できるので、ディーラーなどでは可能なことです。
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そういうことか~。でも気軽に設定変更できないんじゃ、ず~っとスマートエントリーが使えなくなってしまうのでは?
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そうですね。毎回リモコンのボタンを押して、直接ロック・アンロックするしかなくなります。
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そんなの不便じゃないですかッ!
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自分が、昔の車に戻れば安全って方向に振ったんじゃないですか。
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そりゃそうだけど! ず~っと無効化されたら、スマートエントリー付き車に乗っているメリットがなくなるし。
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……ですよね。そこでビートソニックはこう考えました。「一時的に無効化」できたらいいのに、と。
一世代前のキーレスエントリーに戻るイメージ
スマートエントリーを一時的に無効化させるビートソニックの技術
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オーナーが車から離れるときだけ、「スマートエントリー無効化」の状態になっていれば、リレーアタックは防げますよね。
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ほう。
そしてオーナーが戻ってきたら、また有効化するんだ。 -
そうです。そのアクションを、純正のキーレスリモコンでできるようにした、というのが「シャットアウト」の最大のウリなんです。
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そんなことが、なぜ可能なんだろう?
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カンタンに言うと、シャットアウトのユニットが割り込むことで、車の通信(信号のやりとり)にお邪魔するんですね。
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ふむふむ。
そういうの得意ですよね。 -
それで、リモコンまたはタッチセンサーでロックしたタイミングで、「スマートエントリーを無効化してね」という信号を送ります。
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ビートソニックの言うことを、純正が聞いてくれますかね?
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あたかも純正の信号のごとくお願いすれば、聞いてくれるのです。普通に頼んでも、無視されますが。
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ふおぉぉ。
なんかスゴイ権限持ってる系!? -
スマートエントリーが無効化している状態だと、純正リモコンを持った人間でさえも、タッチセンサーではアンロックできません。
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純正リモコンでも入れないんだから……
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その純正リモコンの電波を奪ったリレーアタックの犯人も、もちろんアンロック(開錠)できません。だから100%防げるのです。
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オーナーも入れなくなるんだもんな。ある意味、200%っていうか。
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しかし、オーナー様は、物理的に純正リモコンを持っています。
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ふむ。
そこが電波泥棒との違いだ。 -
車に戻ったら、純正リモコンのアンロックボタンを物理的に押すのです。この信号を受けて、「シャットアウト」は再び、「スマートエントリーの有効化」を車両側にお願いするという仕組みです。
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タッチセンサーは効かないけど、リモコンのボタンは効くってこと?
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ハイ。スマートエントリーのタッチと、リモコン操作のアンロックでは、車の内部的な処理が違うんですよ。
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ほほう。
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だから、スマートエントリーを無効化しても、純正リモコンの物理的な操作は効くのです。
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そこを利用して、純正リモコンで操作可能にしたっていうのか~。
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ハイ。
そういうことでございます。 -
シャットアウトの開発に深く関与してきただけに、ワタナベ研究員の話は分かりやすい。大リークだ♫
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うう。
なんかしゃべり過ぎてしまったような気が……。 -
というわけで、注目のリレーアタック防止装置「シャットアウト」の、取り付け方法にまで踏み込んでいきたいと思います。
DIY Laboアドバイザー:渡邊悠二
カーエレクトロニクスの雄、ビートソニックにおける技術部のホープであると同時に、同社の「顔」としての活躍も期待される人物。プログラマー出身で、ITにも車にも強いが、いちばん得意なのは料理という説も。●ビートソニック TEL 0561-73-9000