東京モーターショー2019ルポ
話題の小型電気自動車「FOMM ONE」のヘッドライトの秘密(!?)
東京モーターショー2019・レポート。DIYラボアドバイザーがいるIPFブースの出展車は、FOMM ONE(フォム ワン)。電気自動車なのは今どきだとして、特筆すべきは水に浮くこと! 水害対応車・FOMM ONEと、IPFの関係とは。
水に浮く小型電気自動車「FOMM ONE」のヘッドライトに注目
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「LEDウインカーバルブの本命となるか!? ついにIPFが投入」に続きまして、東京モーターショーのIPFブースからレポートします。
●レポーター:イルミちゃん
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なんだか見慣れない車が置いてあるけど……これはなに?
●DIYラボ別館 ユキマちゃん
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FOMM ONEです。FOMM(フォム)が、タイで販売している電気自動車なんですよ。普通の車と何が違うって、「水に浮く」。水上走行ができるんです。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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それはスゴイ!
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浮くってことは水没しない車……素晴らしい!
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タイも洪水が多い国なんで、「水害に強い車」というコンセプトで作られたのがFOMM ONEなんです。
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……でも、それがIPFとどう関係あるのよ? FOMMさんとどういう関係?
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FOMM ONEのヘッドライトやテールランプって、実はIPF製なんです。
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そうなんだ!
なんか渋い!! -
さすがFOMMさん、目の付けドコロがマニアック!!
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……。
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灯火類はすべて、IPFが手がけております。
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なおさらFOMM ONEに親しみが湧いてきます。
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外装の灯火類ばかりだけど、ルームランプはIPF製じゃないの?
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ルームランプは白熱球ですね。
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まあ、そこは自分でIPFのLEDバルブを付けてね、ということか。
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日本でも乗りたいなぁ、FOMM ONE。
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水に浮くなら、海を渡ってくればいいんじゃない?
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……そういうことを言っているんではナイ。
✔ ヘッドライト、ポジションランプ、ウインカーと並んでいる。全てIPF製。
小型電気自動車専用の欧州規格「L7e」
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なお、このFOMM ONEはタイで販売している車なので、満たすべき法規も日本のものとは違うんですよ。
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あ~、なるほど。
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「L7e」という小型電気自動車専用の欧州規格があって、それに準拠するヘッドライトになっています。
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それも欧州規格なんですねぇ。
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そうです。欧州は、小型の電気自動車カテゴリーがすでに出来ていますので。
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タイでは、すでにその欧州規格が運用されているんだ。
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そういうことですね。
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世界は話がどんどん進んでいるなぁ。
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ちなみにL7eは、「近い将来、日本にも適応されるのではないか?」という業界予測みたいのもあります。
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日本の法規は、基本的に欧州にならっている部分が多いですからねぇ。
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そうなんですよ。数年後には上陸するかも、と言われています。
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では、ここではまあ、L7e規格の予習ってことで。
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求められるヘッドライトの配光パターンも、ぜんぜん違います。
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ホントだ。ロービームの配光も、ナナメに上がるラインがない。まっすぐ水平にカットされていますね。
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日本でいうところの、フォグランプっぽい配光ですよね。
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確かに。
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ハイビームも日本とは違います。下のほうは、カットするのが特長です。
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日本のハイビームは真ん中どっかーんで、カットオフはしてないですもんね。
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配光はIPFが得意とするところだから、どういうルールでも自由自在?
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ルールが変わっても、「ヘッドライトは配光が大切」っていう意味では、同じですね。
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でも、そのL7eのヘッドライト規格は、まだ日本で採用されているわけじゃないんでしょう?
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もちろんそうです。日本で走行したら、逆に違法ですね。今のところは。
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……じゃあ、なんでそんなL7e対応ヘッドライトの露出を、わざわざ日本のモーターショーでするの?
意外なところで採用されている(!?)IPFの灯火類
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今回のブースでは、IPFがこれまでに手がけたきたOEM供給製品の一部を紹介しているんですよ。
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オーイーエム?
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OEM供給とはつまり、「他社の製品を製造すること」ですね。
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ハイ。ようするにIPFブランドとしては発表も発売もしていないけど、IPFのランプはこんなところにも使われているよ、という紹介ですね。
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それってけっこうデリケートな話題なのでは???
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もちろん普段は公表しません。今回は一部のパートナー企業から許諾を得て、ほんの一部を東京モーターショー2019の会場で展示しているのです。
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さすが、車のお祭り。
そしてFOMMさん、フトコロが深い。 -
他にもいろいろ許諾を頂いて、公開しておりますよ。
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例えば、どんな純正ランプがIPF製かというと……
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社外品のようなバルブではなく、フォグランプ灯体・丸ごと作っていたりするんですね。
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そうですね。市販品としては販売していませんが、自動車メーカーには供給しています。
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2色切り替えのLEDフォグランプもある!
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アフターパーツとして、2色発光LEDフォグバルブが人気のIPFですが……こちらは灯体一体型。
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2色発光フォグを、バルブではなく灯体一体型で作り込むと「白点灯とアンバー点灯で、カットラインの高さにズレが出ない」メリットがあります。
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2色発光バルブだと、どうしても多少の誤差は出るって話でしたもんね。
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灯体そのものから作る場合には、リフレクターの設計もIPFで行います。そうすると光源の位置がズレても、リフレクター側で補正できる。
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なるほど。
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アフターパーツマーケットに販売するバルブとは、そのあたりが違いますね。
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他にもいろいろなランプが並んでいるよ~(↓)
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大人気のモデリスタバンパーのヒカリモノも、作っていたりするのか~。
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ちなみにこういった純正エアロ用のアクセサリーランプは、構造的には3種類あります。
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面発光タイプと導光プレートタイプってどう違うの?
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面発光タイプが一番キレイに光らせることができますが、奥行きが必要なんです。
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ふむふむ。
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導光プレート発光タイプは、薄く設計できるのがメリットです。スリットをあえて不均等に入れることで、横入れ光源でもムラ無く均一に光らせています。
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なるほど。
面発光と似ているけど、ちょっと違う。 -
いっぽう力強さを演出するときなどは、直光照射を使いますね。
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これは、オフロードっぽい感じ。
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IPFのライトバーに近いデザインです。直光照射とはいっても、単にまっすぐズドーンと照らすのではなくて、横長に照らして視認性を挙げているのがコダワリです。
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アクセサリーランプといえども、やはり「配光」にこだわっている。
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それにしても、IPFというと、社外品のLEDバルブのイメージが強いけど……
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純正部品にも、IPF製がいろいろあるんですね~。
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そうなんです。純正部品として供給するためには、厳しい品質基準を満たさないといけませんが、そういう技術を、アフターパーツにもフィードバックしているわけです。
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ちょっとマニアックな視点から、IPFという会社が見えてくる、東京モーターショーブースでした。
✔ 灯体一体型のLEDフォグランプ。白色は純正オプション採用されている。
※2色切り替えフォグランプは参考出品。
ホンダアクセス・S660ネオクラシックのテールランプユニット。
モデリスタのアルファードにオプション設定されている、シグネチャーイルミブレード(※)。
(※)シグネチャーイルミブレードとは、バンパーサイドに取り付ける面発光LEDユニット。スモークレンズ越しにも関わらず明るい。
直光照射タイプ
モデリスタのハイエースに付いているデイライト。
面発光タイプ
モデリスタのJAOSバージョンのRAV4に付いている、ノーズプロテクター。
導光プレートタイプ
モデリスタのハリアーのフロントスポイラー(LED付き)用のアクセサリーランプ。
✔ TRDのRAV4のフロントバンパーガーニッシュ(LED付き)のデイライト。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。