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純正HID車が社外HIDに換える意味はある?
純正ヘッドライトがハロゲンなら、それをHID化することで「極端に明るくなる」利点がある。しかし純正でHIDが付いている車の場合は、それを社外品に交換する意味はどこにあるのか?
純正HIDは明るいが黄色っぽい
純正HIDの色温度は4300ケルビン付近が多い
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純正でHIDが付いている車に対して、社外HIDに交換する意味としては「色を変える」というのが一番大きいです。
●アドバイザー:IPF 市川研究員
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純正のHIDは黄色っぽい白ですもんね。
●レポーター:イルミちゃん
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純正HIDの色温度は4300ケルビン前後のものが多いです。これは昔からそうですね。
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そこでケルビン数を上げることで、純白や青白光へと変える、ということですね。
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そうなんですが、ここでひとつ難しい問題が出てきます。一般的には、ケルビン数(色温度)が上がるほど明るさは落ちるという傾向があるからです。
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ということは、白や青白に交換すると純正HIDより暗くなってしまう?
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バルブの明るさを示す「ルーメン」の数値でみるとそういう傾向があります。
ルーメンとはバルブが発する光の量を数値化したもの
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そっかー。ハロゲン車のように「明るく&白くなる」ならいいけれど、純正でHIDだとそのへんが悩ましい。
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とはいえ路面が白っぽくなることで「明るさ感」は出てきます。人間の目には明るくなったように感じますよ。
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確かに白いほうがキレイだし、見やすい気がします。でもじゃあ、なぜ純正は黄色っぽくするんだろう?
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ええっとですね、白いほうが明るさ感が出るの確かですが、これは「雨が降っていない夜間」での話なんです。
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ほほう。雨が降ると話は別なんですね。
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雨天時は路面が濡れているので、波長の短い光(白や青白)は路面に届きにくくなります。つまり、見づらい。
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そう言えば青白HIDを入れている人は雨の日はとても見づらいって言いますよね。波長うんぬんとか科学的な根拠があるのか。
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波長の長い光のほうが、路面の水に乱反射しにくくなって地面に届く量が多いので、「色温度は低めのほうが見やすい」ということになってきます。
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「黄色が悪天候に強い」と言われるのはそのためですか?
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そうですね。一長一短あります。そして純正HIDは、当然のことながら全天候型で考えて作られています。
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そのバランスを変えて、「見た目のキレイさ」と「晴天時の明るさ感」を重視しているのが社外HIDバルブってことか。
ルーメンを下げずに色温度を上げるのが最新トレンド
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純正HIDの明るさは、D2系のバルブで3200ルーメンぐらいです。これを例えば通常のHIDの6200ケルビンに換えると、2700ルーメンまで下がってしまっていました。
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これは色温度を上げているため、ですね。
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そうです。それでいろいろ試行錯誤して登場してきたのが、IPFで言うところの「ハイルーメンタイプ」です。これは要するに「ケルビンを上げつつ純正HID並のルーメンもキープする」というHIDですね。
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へー! そんなのがあるんだ!
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ハイルーメンタイプなら、6000ケルビンで明るさも3200ルーメン出ています。
純正HID 4300K 3200ルーメン
ハイルーメンHID 6000K 3200ルーメン
IPFのハイルーメンHID「60D2H」
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ルーメンは純正同等。白くなったことでの明るさ感も出る。……ということは!
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そうです。明るくなったとハッキリ体感できますね。
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なるほどぉ。同じ3200ルーメンが保てるなら、当然、純白とか青白のほうがいいってことになりますよね。
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ただし、今のところは6000ケルビンまでです。それ以上のケルビン数となると、やはりルーメンは下がってしまいます。
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そこでIPFでは「純正HIDと同等のルーメンでより白く」という開発が続けられているようです。以上、最新の純正交換型HID事情でした。
社外品のLEDヘッドライトバルブを選ぶときの重要な注意点についてはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しています。
DIY Laboアドバイザー:市川哲弘
LEDやHIDバルブでお馴染みのIPF企画開発部に所属し、バルブ博士と言ってもいいほど自動車の電球に詳しい。法規や車検についても明るく、アフターパーツマーケットにとって重要な話を語ってくれる。