年末スペシャル2020
球屋・森田の前向きな話
例年の年末スペシャルは、DIYラボ本館のイルミちゃんとDIYラボ別館のユキマちゃんが減力放送でお届けしているが、今年は恒例の振り返りネタではない。誰もがそれぞれに大変だった2020年なので、別趣向で締めに向かう。
研究員も年末休み。イルミちゃんとユキマちゃんで大掃除のはずが…
-
……ふぅ〜。
●DIYラボ別館:ユキマちゃん
-
ユキマちゃん、そっち終わった?
●レポーター:イルミちゃん
-
いちいち人の進行具合を気にしない! アンタはアンタでどんどん掃除すればいいのよ!
-
それが総務の私に向かって言う言葉なの? 私には人事権が(ちょっとだけ)あるのよ。
-
管理社会反対! ストップ・パワハラ!
-
トイレ掃除が終わったら、次は研究室やるからね。
-
それにしても毎年、なんだって私達二人だけで大掃除なのよ。
-
仕方ないでしょ。メーカーやショップから出向してもらっている研究員に掃除なんて頼めないし、だからといって大掃除をアウトソースする予算などない!
-
今ごろは、研究員達は飲みまくっているでしょうね。特にJライン・氏家、球屋・森田、KTC・トリー研究員(※)あたり。
(※)DIYラボの3大酒豪。
-
……あれ?
研究室の奥の倉庫、電気が付いてる? -
まだ誰か残っているのかな?
-
……ウーム。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
-
おや!?
森田研究員、まだいたんですか? -
てっきりとっくに仕事おさめをして、酒飲んでるかと思ったら、まだ研究していたとは。
-
いや、研究じゃなくて大掃除していたんですけど、これ(↓)どうしようかなと思って。
-
な、なによこれ。
ヘッドライト墓場? -
いままで球屋で研究開発に使ってきた、ヘッドライトの残骸ですね。
-
ゴミってこと?
-
まあ、基本的にはそうですね。見る人が見れば、宝の山に見えるかもしれませんが。
-
これ全部売れば、けっこうなお金になるんじゃない?
-
いや、切った貼ったした残骸なので……捨てようかどうしようか迷っていたんです。
-
捨てたらダメ絶対! 何かの研究に使えるかも知れないし。DIYラボで有効活用しましょう!
-
イルミは「アレもコレも捨てられない」で、ゴミを溜め込むタイプね。
-
そういう次元じゃない。近ごろの車のヘッドライトがいくらすると思っているのよ。
-
とりあえず、取っておきましょうかね。
-
来年もコロナ禍が続くから、いよいよ球屋の経営がピンチになったときに売るのがいいかもね。
-
本当に経営がピンチになったら、これで足りるとは到底思えませんが。
コロナ禍における、車業界のショップ経営はどうなっているのか?
-
球屋みたいな車業界のショップだって、コロナ禍は大変だったんでしょ?
-
非常事態宣言のときは球屋のお客さんもパッタリいなくなったという話がありましたが、その後はどうだったんでしょうか?
-
3月・4月・5月は店の売上げが激減しましたが、夏場はいったんお客さんが戻ってきていたんですよ。
-
フムフム。
-
そして秋以降また感染者が増えてきて、ニュースで騒がれるようになり……9月くらいから、影響がバチコーンときました。
-
やっぱりそうなるよね。
-
球屋は県外から来るお客さんが多いから、人が移動しにくい今の状況は完全に逆境。
-
ただ、直近の状況を言えば、コロナ禍としてはまあまあ、ぼちぼち、まだマシなほうなのかなぁ。
-
そうなの?
-
他社との比較はできないんで、肌感覚ですけどね。ホテル業や飲食店などの他業種と比べたら、文句は言えないですよね。
-
今頃はてっきり気分的にも腐っているのをいいことに、早じまいで酒びたりかと思ったら。
-
ぜんぜんフォローになってない言い方ね。
-
精神的なことで言うなら、まだまだ全然大丈夫ですよ。僕は精神的にはいつもフラットな状態です。
-
「ドM」で「楽観主義者」ってこと?
-
いや、森田研究員はまったく楽観主義者ではない。ドMは間違いないが。
-
緊急事態宣言のときは本当に目の前の仕事がなくなって、「どうするんだ!?」となりました。でも、そうなったら「仕事作るしかない!」ですよね。
-
そういえばあのとき、森田研究員が何をしたかと言えば、車を買っていた!
-
「ヒマだから車買ってきていじってま〜す」とネタっぽくやりましたが、あれは半分は仕事として本気でしたよ。
-
ちなみにその後、夏場にはカローラツーリングのお客さんが増えて、球屋の売り上げ回復の一助となりました。
-
ほかに、球屋でいうと「通販事業に注力する」というやり方も考えられなくはない。今年はまだ、やらなかったですけど。
-
なんでやらなかったの?
-
僕は、基本的には「車を触っていたい」ので、通販よりもショップの業態がだんぜん好きなんですよ。積極的に通販事業をやりたいわけではないんです。
-
なるほど。
-
本当にお客さんが来なくなって球屋がつぶれる位なら、仕事の手段として、やらないといけないとは思いますけど。
-
……まだ、切れるカードはあるってことね。
-
いつもヒョウヒョウとしている森田研究員も、胸の内ではいろいろ考えているのです。
-
コロナ禍だからって、「ヤバイヤバイ!」「仕事なくなるんちゃう!?」とか僕が騒いでいたら、球屋で働くスタッフ達は不安に思いますよね。
-
そういう社長も多そうですが……。
-
僕だったら、そういう社長の下で働くのイヤだし。
-
同感。
-
内心では「大変だ…」とは思っていても、それを表向きに口に出しても仕方ない。それよりも、じゃあ何ができるか? 何をしようか? それしかないですよね。
✔ 球屋には通販事業部もあるが、あくまでもサブ的な業務の位置づけ。メインはお店に車を持ち込んでもらって、加工するスタイル。
暗い時代の突破術を、球屋・森田研究員に学ぶ
-
このコロナ禍はしばらく続くと分かっている。そこはもうみんな、イメージ出来ていると思うんです。
-
間違いなくそうでしょうね。将来が不安になる、暗い時代だ。
-
将来不安が大きいなら、逆に、どれだけの手が自分に残っているか先に考えておく、っていうのは意味があると思います。
-
……ほう。
-
これも僕の肌感覚ですが、業界的に来年は1月早々から厳しいんじゃないかと思います。再来年くらいに景気が上向いてくれたら嬉しいな~、ぐらいの見立てでいます。
-
ヘタすると再来年もダメっていう観測ね。つまり。
-
今後は、今年の春のような「ショック的な落ち込み方」ではないにしても、どうしても皆さん出費は控えると思うんですよ。こんな時代背景では。
-
コロナ危機というか、コロナ恐慌の様相ですもんね。
-
しかも僕らみたいな車の加工ショップなんて、お金を使う要素としては、末端も末端じゃないですか。生活には、必要ないんで。
-
LED加工は不要不急か。
-
それでね、この間球屋で、スタッフ全員と丸一日使って会議をしたんですよ。
-
どんな会議でしょうか?
-
来年、今年より厳しい数字になってきたときに「こうなったら、こういう行動をしていこうか」という指標みたいなものをメンバーみんなで作ったんです。
-
さっき話に出た通販事業への注力も、その中のひとつですね。
-
「マイナス方向を折り込んで、先のことを決めておく」。そのほうが、安心する人って多いと思うんですよ。
-
なるほどねぇ。
-
漠然と先行き不安ばかり感じて、負のスパイラルに陥った状態で仕事しても、つまんなそうじゃないですか。
-
そんな精神状態ではいい仕事もできませんよねぇ。
-
不景気に打てる手なんて、考えたらまだまだいっぱいありますよ。引っ越して家賃下げるとか、最後の最後の手段は、自分の生活レベルを下げればいいし。
-
では、代表者である森田氏の給与をカットします。
-
僕の人件費を削った位でカバーできる程度なら、その手前でカバーできるでしょ、っていう話だけど。でも最悪はそうですよね。自分の生活レベルを下げて、車も売ったらいいんです。
-
車好きが車を売ったら、何も残らないのでは?
-
いやいや。球屋を開業してここまで来る間には、「お金がなくて、僕個人の車を手放した」経験も2回ありますからね。
-
球屋にもそんな苦労があったんだ。
-
そのときは15万円で買ったボロボロの軽自動車で、会社に通勤していました。
-
つらかったでしょうね。
-
いいえ。僕、そういうの、ぜんぜん苦じゃないんで。なんなら今でもぜんぜん使えますよ、その手は。
-
でもさ、そういうことするとテンション下がらない? 都落ちみたいな感覚でさ。
-
僕自身がステータス性みたいのを求めていないタイプだから、車を手放したからってテンション下がるとかは無いですね。
-
なるほどね。私なんかは何もしなくても給料がもらえるもんだから、実は今の生活が気持ち良すぎて……
-
なんだとッ!? やっぱりサボってばっかりなのね、別館は!
-
あ、いや。
今のは冗談だけど…… -
DIYラボ本体だって、今年は赤字全開なんだからな!
-
分かってるよぉ。
-
来年、もしも今年以上に赤字が拡大したら、問答無用で別館は閉館します! そんで強引に黒字に戻す。
-
……え? え? えぇ!?
-
まあ、例えば、そういう風に「切れるカードを持っておく」のは大切だと思うんです。
-
何言ってるのよ! 別館封鎖反対! ストップ・リスハラ!
-
……。
その手前で踏みとどまれるよう、できることを考えましょう、という話ですね。