年末スペシャル2020
KTC・トリー研究員から、DIYラボ読者の皆様へ
2020年のDIYラボは、大みそかの今日で本締め。今年も毎日1本・365本の記事をUPしてきたものの、もちろんDIYラボとて〈コロナ禍〉の影響を受け、苦しい局面だったのが正直なところ。例えばKTCの連載「工具再入門」が休止状態になっていた。そんな年末に、KTCのトリー研究員よりメッセージが届いた。
新型コロナの影響で、KTC発の「工具再入門」も休止していたが…
-
お行儀悪いと怒られるよ?
年末は毎度お雑煮フライングしてるわね。 -
だれに?
もう館内には研究員もいないじゃない。 -
ここでちょっとお知らせしておきたいことがあります。
-
なによ?
年末の減力放送なのに、お知らせがあるの? -
読者の方からも問い合わせを頂いております、この連載(↓)の今後について。
-
あー。
「ねじ講習」! -
……違います。KTCのトリー研究員を招いて開催している、「工具再入門」です。
-
そういえば最近、KTCのトリー研究員を見かけないわね。
-
実を言えば「工具再入門」連載も、新型コロナの影響を受けて休止していましたので。
-
そうだったの?
-
知らなかったのか。まあ、正式にアナウンスもしてなかったけどな。
-
KTCも、コロナ禍で大変な状況ってことなのかな。
-
事情を少し説明しておくと、KTCは京都に本社があって、その広大な敷地内に「工具を作る、全工程をこなせる生産設備」が一体化した会社なのね。
-
本当に京都で工具を作っているんだ。
-
そう。まさしく純然たる国産メーカーと言える。でもそれだけに、今回のコロナ危機のような時は大変なんですよ。
-
どういうこと?
-
だって、誰かひとりでも感染者が出たら、工場の生産ライン全体に影響が出てしまうもの。
-
あー。
そういうことかー。 -
それでコロナ禍においては厳戒体勢が取られていて、トリー研究員もDIYラボに来られなくなってしまったのです。
-
そうだったのか。
でも、ちょっと待って。だとしたら…… -
ふむ。
-
コロナが終息するまで、トリー研究員の「工具再入門」はできないってこと? 文字通り「ねじ講習」だけで終わり(※)……みたいな。
※トリー研究員は説明が大変やさしく、工具を語る前段のねじの話も多めであることから、「工具再入門」は「ねじ講習」とも呼ばれている。
-
それでも、プラスドライバーやスパナ、めがねレンチまでは勉強できたでしょう?
-
でもぉ。ソケットレンチとかトルクレンチとか、本番はこれからでしょう?
-
まあね。
それはそうだけど。 -
このままでは連載休止どころか、自然消滅っていうパターンもあり得る。
-
ヘンなこと言わないでよ。ちゃんと対策を考えたから、来年は早々に連載を再開します!
-
ほお。
どうやって? -
トリー研究員だぁ!
-
本日は京都のKTC本社にいる、トリー研究員とつながっています。
-
いや、もう年末休みに突入しているので、自宅ですが。
-
(そこは正直に言うんだ……。)仕事おさめの後に、本当にすみません。
-
今年は全然そちらに顔を出せなくて、申し訳ありません。また、連載が長期休止になっている件につきまして、読者の皆様にもお詫び申し上げます。
-
まったくだ。
-
なんで生徒が上から行くのよ? そもそもトリー研究員のせいじゃないから。
-
KTCのみんなは、元気でやっているのかな。
-
元気でやってますよ。ただ、今年はいろいろ大変でした。
-
KTCは現在、どういう状況なんでしょうか?
今日は大晦日。大変な一年だった2020年が、いよいよ終わろうとしています
DIYラボ レポーター:イルミちゃん
ことひはたいへんらったよねぇ
DIYラボ別館:ユキマちゃん
KTC トリー研究員の連載
予備解説
日本を代表するハンドツールメーカー KTC。
KTCはブランド名で、京都機械工具株式会社(KYOTO TOOL CO., LTD.)の略称。今年70周年を迎えた。
2021年からはWeb会議システムで、工具再入門を再開します
アドバイザー:KTC トリー研究員
Web会議のイメージ
製造メーカー特有の、コロナ禍における大変さ
-
ここで、コロナ禍におけるKTCの取り組みをご説明しておきたいと思います。
-
フムフム。
-
一般的行動指針として「マスク着用」「3密回避や手洗い励行」「アルコール消毒や検温」などはもちろん行っていますが、それらに加え、以下の対策を取ってきました。
-
……さすが大きな会社はいろいろ大変そう。
-
しかし、本当に大変なのは工場です。工場ではテレワークができませんので、基本的にコロナ前と変わらぬ体制で、ずっと操業していました。
-
テレワークと言われても、できる業種とできない業種がありますからね。
-
そうなんです。メーカーとしては、コロナ禍特有の苦労があったのが工場の人員のやりくりです。
-
と言うと?
-
例えば「コロナ前」は社員が発熱して欠勤しても、熱が下がればすぐ出社が可能でしたが、「コロナ後」は発熱者が出ると検査や自宅待機で、長期間欠員することになる。
-
……そうか。
ただの風邪でもすぐに復帰できない。 -
残った人員で、工場のラインを止めないようにしなくてはならず、いっぽう現場では、設備や作業改善により省人化・少人化を進めていたため、なおさら大変でした。
-
製造メーカーならではの苦労ですね。
-
トリー研究員はどうしていたの?
-
私自身の仕事は、展示会や工場見学・研修会などですが、すべて中止になり、ユーザーの方々と直接お会いする機会がなくなってしまったのは残念です。
-
人に会うのが仕事、みたいなポジションだったものね。
-
出張、来客受け入れの自粛により、DIYラボの連載も休止になっていますからね。
-
あと、実は4月に所属部署が変わったんですが、結局送別会も歓迎会もないまま年を越すことになってしまい、ちょっと寂しいです。まぁ仕方ないですけど。
-
大好きなお酒を飲む機会を奪われてしまったんですね。
-
KTC三大酒豪のひとりに数えられるトリー研究員なのに。
-
……。
-
あのう、(そこ、本気でガッカリしてないで)続けてください。
-
感染症対策は粛々と気を抜かずやり続けることが大事ですが、KTCはもともと真面目に愚直(※)に物事に取り組む体質の会社です。コロナ禍の何かと暗い世相の中でも、やるべきことをしっかりやり続けていますよ。
-
グチョクかぁ。KTCは、トリー研究員みたいな人がいっぱい働いているわけね。
-
こんな時代でも、粛々と仕事をするスタンスはさすが。
-
こんなときだからこそ、笑顔あふれる豊かで安全な社会の実現に、少しでも貢献しないといけません。
-
……なんか思ったより元気そうね?
-
そうですか?
ああ、まあ、そうかも知れません。 -
なによ!?
なんか思わせぶりっていうか、匂わせ? -
これは、DIYラボ読者の皆様へのメッセージでもあるのですが……
-
フムフム。
-
DIYは自宅で3密を回避しながら行える、ある意味コロナ禍に適した趣味です。
-
確かに!
今こそDIYの時代ですね。 -
とはいえ、これだけ自粛ムードが長引くと、どうしても気が滅入ってくると思うんですよ。
-
まったくだわ。私なんか別館と本館の連絡通路を行ったり来たりするしかできなくて……イライラも限界。
-
仕事しろよ。
-
そういう暗い気持ちをリフレッシュするために、何か新しい趣味を始めるのはどうでしょう。「DIYで新しいジャンルに挑戦する」などもいいと思います。
-
新しいことか。
そういう切り替えはアリかも。 -
私自身は、昔はまっていたけどここ数年間ご無沙汰していた趣味を、コロナをきっかけに再開し、毎週末リフレッシュしていますよ。
-
へぇー!
意外と元気そうな理由はそれですね。 -
トリー研究員が昔ハマっていた趣味……ってなんだろ。
-
さあ。
-
お酒?
-
それは趣味というより日常でしょ。
-
……まあ、私の個人的な趣味の話はさておき、皆さんのDIYの趣味をもっと有意義なものにしてもらうためにも、来年は「工具再入門」を再開しますよ。
-
そのためにDIYラボにも、Web会議専用ルームを作りましたので。
-
リアルでは会えない日が続くけど、いろいろ変わっていくしかないもんね。
-
そういうことです。
-
来年も有意義な一年にしましょう。
-
よーし。ではまず、景気づけにオンライン飲み会だ!
-
そういう目的のシステムじゃないのよ。
-
もっと早く言ってくれれば、こちらも準備しておいたのですが……
-
いや、そこは付き合わなくていいですから。
-
カンパーイ! 皆さん、今年はたいへんお疲れ様でしたぁ。
✔ 基幹業務(経理・受注センター等)の事務所は二個所(別々の社屋)に分ける
✔ テレワーク実施(ただし製造業ゆえに間接部門のみ)
✔ リモート会議の積極導入
✔ 会議室や食堂のレイアウト変更(ソーシャルディスタンスを保つ)
✔ 休憩時間をずらす(密の回避)
✔ 事務所の換気徹底
✔ 出張、来客受け入れの自粛
※ 愚直(ぐちょく)とは?
正直・真面目が過ぎること。敢えて耳よごし的な表現を使うなら「くそ真面目」といったところ。メーカーがそういう姿勢なのは、ユーザー側には良いことでしかない。
※DIYラボ本館〜別館の連絡通路